新年+SS

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新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします!

写真はこないだ琴子さんとごはん食べたときのもの。
パンがちょうかわゆす。

続きから、新年SSを書いています。「蒼穹、その果て」より桜と雪瀬。
四譚一章の後日譚です。ごろごろしてます。

 月明かりへ、簪をそっとかざしてみる。
 葛ヶ原の彫金師がつくったというそれは、平たい円に桜の花を模した透かしがほどこしてある。ふちのほうへ指を滑らせ、表にして、裏返してみてから、ためつすがめつして、えへへ、とひとり頬を緩める。胸に引き寄せたそれを一度はしまってみるのだけども、少しも経たないうちに箱から取り出し、鏡の前に座った。髪を簡単に結って、簪を挿してみる。そぅっと鏡の中をのぞくと、ちょこんとおさまっている銀簪が月の光にきらめいてまるでほんとうにはなよめさんのようだと、
「~~……!!」
 悶えて机に突っ伏した。
 机にぐりぐり額を押し付け、ふにゃふにゃとわらう。

***

「……ということを夜な夜な桜さんがやってるんです」
 真剣そのものの顔つきで、翡翠宿の飯盛り娘のひとりに打ち明けられ、雪瀬は茶を吹き出しかけた。突然むせ始めた男に、「だ、だいじょうぶですか」と飯盛り娘はおろおろ懐紙を差し出す。咲に呼ばれて娘が席を外してしまうと、雪瀬は残っていた茶をのみくだした。これから切り出すことを咲や今の娘が聞いたらどうなるんだろうと考える。
(かえりたくなってきた)
 はあと嘆息して、首に手をあてる。
 新年を控えた翡翠宿は、どことなくせわしなく、娘たちの足音が行きかっている。
「雪瀬」
 かたん、と音を立てて襖から桜が顔を出したので、雪瀬は目を上げた。
「咲、もうすぐ終わるから。あとすこし待ってね」
「ん。……桜」
 また鶯色の小袖を翻そうとした少女を呼び止め、雪瀬は腰を上げた。ずれてる、と言って、何気なく結い髪に挿した簪を直してしまってから、さっきの飯盛り娘の言葉を思い出して手を止める。腕の下で、桜は眦を赤く染めてぎゅむっと目をつむりこんでいた。
「……」
 なんとなく雪瀬は目をそらした。
「なおった」
「うん?」
「なおった」
「う、うん!」
 まどろこしいやり取りを繰り返したのち、桜は指で簪の位置を確かめるようにした。
 ありがとう、と花ひらくようにわらって、きびすを返す。軽快に遠ざかる足音をききながら、雪瀬は大きく息をついて、畳にかがみこんだ。……これが、これからずっと隣にいるのかと思うと。
 立てた膝にしばらく突っ伏していると、そのうち部屋に入ってきた咲が「あんたたちナニ似たような恰好してんの」とひじょうに呆れた風に息をついた。

…「にたもの」了.
(「蒼穹、その果て」一章「新帝」~二章「風の花嫁」閑話)
HAPPY NEW YEAR 2015 !!!

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